気に入った立地の建売住宅を購入して、夫婦・家族みんなでそこを”終の棲家”として幸せに暮らす…これは一戸建てを購入しようと思っている人がみな思い描くストーリーです。この前提に立てば、建売住宅の購入が成功だった、失敗だったなどという概念は、あまりあてはまりません。
問題は、入居した後に、購入時には全く想定していなかったような事態(転勤・離婚・家族構成や周辺環境の変化等)が発生し、転居する為に家を売却しないといけない状況等に陥ったときです。売れなかったり、買い手が見つかっても金額の折り合いがつかなかったりすると、住んでもいない家のためにローンを返済し続けたり、売却できても売買代金でローンの残債を「0」にできなかったりします。換言すると、一戸建て購入において起こりえる”失敗”とは、諸般の理由で転売・再販せざるを得なくなった際に発生し得る「経済的損失」と定義することができるのではないでしょうか。
本コラムでは、そういった「経済的損失」を比較的発生させにくい、リ・セール(再度売る)バリュー(価値)が高い建売住宅の賢い買い方についてふれていきたいと思います。
リセールバリューの高い建売住宅とは?
1.新婚子育て世帯に適している間取り
2.ネット選考で落ちにくい物件概要
3.明確なセールスポイントがある家
持ち家としての一戸建ての購入「層」のニーズに合致する住宅であるか否か?このあたりが焦点です。それでは各項目を具体的に見ていきながら、建売住宅の賢い買い方を解説していきましょう。
目次
新築・中古を問わず、一戸建ての購入希望者は、結婚や出産の予定がある年代層・世帯が多いです。中には転勤族の方や、リタイア後の方もいらっしゃいますが、そこは圧倒的にパイが小さいのが現実です。なので、2人、3人、4人と近い将来に家族が増えていっても対応できる間取りになっているのを中心に選ぶのが、建売住宅の賢い買い方の要素のひとつといえます。
建売市場で最も人気があるタイプの間取りは、3室以上のベッドルームがある4LDKなのですが、それは、お子さんが乳幼児の時はLDKとの続き間としての洋和室(マルチルーム)をお昼寝の場や夜の寝室として使い、大きくなって一人で寝られるようになったら、2階の子供部屋に上がっていく…というのが、誰でもイメージしやすいライフサイクルのパターンだからです。
ちなみに、少子化なので4LDKは不要ではないか?という疑問を持たれる方が多いのですが、一戸建ての建売購入者層に限ってお話すると、複数お子さんがいらっしゃるご家庭が圧倒的に多いので、基本的に「部屋数ありき」の市場でなのです。もし既に育児をされているご家庭でしたら、今の時点でご自身が欲しいと思う間取りをストレートに選べば、結果的に賢い買い方になると思います。あまり20年、30年先のことまで深く考えて重視してしまうと、少し的外れな間取りを選んでしまうかもしれません。
新築・中古を問わず、不動産を購入するときは必ず購入者は物件を見学すると思います。そして見学する前段階として、圧倒的多数の方が不動産物件をインターネット(広告)で検索します。広告上は、販売している物件の概要を記載しないといけないと法律で定められており、土地建物の面積はもちろん、交通(駅距離分数等)、価格、間取りのタイプ等その他多数項目がそれに該当します。それらの物件概要を読んだだけで、購入検討候補から脱落してしまうような情報が入っていると、物件見学に至らず、売却に苦労します。この厳しい消費者による「ネット選考」を勝ち上がるポテンシャルをもった概要の物件を選ぶことが賢い建売の買い方になるといえるでしょう。発信対象(購入希望者)は1でふれたとおり新婚子育て世帯がメインで、昨今では全世帯の2/3が共働き世帯と言われていますから、例えば電車通勤が一般的なエリアで以下のような物件概要をそのような世帯が見たらどう感じるでしょうか?
「✖✖駅からバス20分・バス停から徒歩15分・小学校まで徒歩28分」
通勤も通学も、家族を挙げて大変なことになりそうですよね!おそらくどんなに安くても大半の一戸建て購入希望者は見学にいかないのだと思います。どんなにワケアリで格安だったとしても、終の棲家にならず、売却しなければいけなくなった場合は、リセールバリューが著しく低いか、完全に売却不能になっていまうと、マイホームは「資産」ではなく、ただの「負債」になりかねないので、そういった物件は極力避けるのが建売住宅の賢い買い方であるといえるのではないでしょうか。
一戸建てに限らず、住まいとしての不動産を購入したことがある方なら、おぼろげに記憶があると思うのですが、購入の決断をするときというのは、最後の最後でなにかひとつだけでよいので、その物件を購入する「理由」というか「大義名分」が欲しいものです。なんとなくそれを選んだというよりも、「見た中で一番駅に近かったから」「バルコニーが大きかったから」「理想のキッチンの形だったから」など具体的なご自身にとって分かりやすい、納得のいくメリットがそこにないと、大きな買い物の決断はしにくいものです。その明確なセールスポイントがないと、購入希望者は迷ってしまったり、他にもっといい物件があるのではないか?と購入に対して及び腰になったりしまいます。
自己の住まいを諸般の事情で売却する必要が生じた場合は、購入したときとは逆に品定めをされる立場になりますので、そのときに「我が家には●●という他にはないセールスポイントがある!」と胸が張れて、購入希望者の共感を得られるような”ウリ”があるものを購入しておくことが賢い建売住宅の買い方と言えるでしょう。
ということで、建売住宅を購入する際に失敗しないためには、リセールバリューの高い物件を選ぶことが賢い買い方になるというお話でした。参考になさってください。